モーツァルトの生誕の地、オーストリアのザルツブルグ市は、(塩の城塞の意、人口15万)は、1966年旧市街とと歴史的建造物がユネスコ世界遺産に登録されている。
その、ザルツブルグ市の東方に広がる美しい高原地帯 ザルツカンマーグート(塩の御料地)には、山と高原と谷間や林の中に全部で25以上の大小様々の湖がある。

ハプスブルグ家の夏の保養地でもあったバート イシュル や モーツァルトの母の生誕地聖ギルゲン、ドイツの元首相ヘルムート コールが夏の休暇を過ごしたザンクト ボルフガング湖、ケルトの古い文化の街、ハルシュタットとダッハシュタインの不思議に美しい街と湖の文化的景観がユネスコの世界遺産に登録され、魅力的な観光地である。

その中に ある比較的小さいが、しかし山間の神秘的な湖、Toplitzsee / トプリッツ湖という湖があり、美しいトプリッツ川が流れ込んでいる。

第二次世界大戦中 1945年 ザルツブルグ市では、市民から戦争に協力しようと、金や銀製品、時計、宝石類、メタル製品の寄付が集められ、その量と価値は驚くほどであった。しかし、集められたその数日後には、終戦となってしまったのである。
その財宝の行方を探り、色んな噂が市民の間で立つが、もしかしたら高原地帯にある、昔から不思議な伝説のあるトプリッツ湖に埋められたのではないか、との説が強くなる。

ほぼ時を同じくして、ドイツ ナチスの財宝が気の箱に詰められて、沢山 沈められた、という噂も流れた。 その隠された財宝を探しだそうと、密かにその湖に潜る者が何人も出てきたが、誰一人として財宝を見つけるどころか、潜った本人自体が戻って来た者はいなかった。
全員が 湖に飲み込まれたかのように 消えてしまったのだ。

一体全体何が起きたのかも 分からないままに、進入禁止の札が立てられて、時が過ぎた。 スコットランド のネス湖 より不思議で、 神秘的だと言われた。
その後 潜水服を付けた専門家の調査団が潜りこの湖の水質検査が行われた結果、ある事実が判明した。

湖の水面から 20m位までの深さまでは、普通の湖と何も変わらず、魚も植物もいる。 しかし水深20m以下では、酸素が含まれない水で、嫌気性微生物「硫酸還元細菌」しかいない事がわかった。(日本では福井県 の水月湖が同じような湖と聞く。)
しかも 湖の底はとても深く、水は恐ろしく冷たくまた暗く、とても湖底に潜り到達することは無理である事がわかった。

つまり 酸素がないから、魚も植物も住めなく、また腐敗も起きないと言う事になる。 そして 何箇所も急流の渦が巻いていて、潜った者は、おそらくこの急激な流れに巻き込まれて沈んだ可能性があるとわかった。

 その後、ドイツの調査団が、小型の潜水艦を用意して、この湖の底を探検したが、私はその映像を偶然みた事がある。 暗い湖の底に到達すると、落ち葉が腐らずに多くあり、その落ち葉が動くと幾つかの木の箱が照明された湖底に沈んでいた。
また、なにやら白い本のような、書類や紙の束が見えてきた。より近づくと、それは何と、イギリスのポンド札の恐ろしい量の山であった。印刷は鮮やかに見えて、驚きの声が上がった。

ドイツ降伏の混乱時に、ナチス親衛隊が機密書類と共に、偽ポンド札やその原版を
オーストラリアのこの湖に沈めた。
UK経済を撹乱、崩壊させようと狙い悪魔の秘密作戦で印刷された高品質の偽のポンド札の山は、所有権の問題もあり、直ぐには引き上げる事は出来なかった。

その2年後の1959年には、 ドイツの雑誌 Stern / シュテルン (星の意)の更なる取材準備が進み、偽札や原版 機密書類が回収されて、それ以来作戦の内容が一般にも明らかになった。その贋札は全部のポンド流通量の10%にあたり、現在の価値では、約1兆円あまりの総額と計算された。実際に多くスパイへの報酬や、海外の秘密工作資金、武器調達用の取引や謝礼に、国際間でも多く 使われた事実が残る。

 ベルリン近郊のザクセンハウゼン強制収容所に、ユダヤ人の印刷専門技師者を集めて、1943年 国家による史上最大規模のポンド偽札印刷工場が作られ、これはベルンハルト作戦と呼ばれた。USドル札の偽造計画もあったが、これは完成にはいたらなかったそうだ。

1917年 スロバキア生まれの印刷工で生き証人のユダヤ人 アドルフ ブルガー
さんが、事実を伝え残そうと、体験談を「ヒトラーの贋札 悪魔の工房」に書いた。
ドイツ オーストリアの合作映画、『 ヒトラーの贋札』も作られ、本年2008年1月より各地で放映されている。米 アカデミー賞 外国語映画 を受賞している。
監督は、「アナトミー」 の ステファン・ルツォヴィツキー。

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