鉛(lead英、Blei独)元素記号pbは青みを帯びた灰色の重金属で、人の食物にもごく微量ではあるが含まれていて、人体の臓器や組織にも存在し、骨にその90%が集まり蓄積する事が最近判明している。

消化器、呼吸、皮膚から基準以上の鉛が入ると、中毒症状を来たす。
鉛に汚染された土壌で育った野菜や植物、それを食べた草食動物の肉、又は汚染された川や海からの魚を食べた場合にも、発生する。
特に水溶性の酢酸鉛、オイレン酸鉛、四エチル鉛は、液体や蒸気としても皮膚から体内に侵入する。

通常は、体内に入った鉛は、トイレで殆どが排泄されているが、中毒になると酵素のチオール基と結合し、様々な酵素の働きを阻害する。

何らかの理由で鉛の中毒症状を来たした場合は、汚染の程度と時間に関係して、疲労感、脱力感、食欲不振、睡眠障害、悪夢、不安状態、金属的な味を感じる、性格の変化、頭痛、胃腸障害、嘔吐、便秘、感覚の喪失、歩行困難、そして激しい腹痛、貧血(歯茎に青い線条がでる)、骨や関節の痛み、歯が抜ける、神経炎、震え,譫妄(錯覚や幻覚)が起きる。また、性欲減退、不妊、流産、死産、男性の機能不全なども起きて来る。

重度の急性中毒になれば精神錯乱、意識混濁・障害、錯覚症、ショック状態、昏睡状態など、脳変質症を起こす。

年少の小児の場合は、ぐったりしたり、ぐずったり、元気が無く活発に遊べなくなり、突然脳症を来たし、不眠、継続的な激しい嘔吐、錯乱、痙攣発作や昏睡状態になる。

通常血中鉛の許容されうる正常上限値は、40~60マイクログラム/dlとされ、
治療にはキレート方法があり、マイクロキトサン飲用も有効である。

南ドイツ新聞によれば、この8月6日に患者が確認されているが、現在中国のShaanxi にある亜鉛工場の近くに住む、14歳以下の児童で、少なくとも615人の子供達が鉛中毒と診断されている。
2つの村の731人の子供達の80%が中毒症状があり、166人の子供は血液検査では何と400ミリグラム/dl が計測されているが、200ミリグラム/dl になると神経組織障害を来たし、即時入院治療を必要としている。

この精錬鉛工場近くの住民や親達数百人が工場に押しかけ、鉄道のフェンスを壊し、トラックを破壊したりと激しく抗議したが、100人の警察隊が出動、解散させた。地元当局は、土壌、地下水、排水の検査をすると伝えている。

中国の湘江(しょうこう、Xiang River)は、洞庭湖に注ぐ長江(Chang River)6,300km の右岸の支流になる856キロメートルの川で2,157の支流がある。

43年前、1956年毛沢東が好んで水泳をした川だそうで、南ドイツ新聞にその写真も掲載されている。この川からは、カドミニウムが国の基準の65倍、水銀が186倍、鉛が66倍測定され、その他の毒物のカクテルと化して濁った下水溝となっている。支流には、科学物質でカラフルな水が流れて居る所があるという。

この絶望的な恐ろしい川に、毛沢東のファンの数百人が毎年、そしてこの夏も彼の写真を掲げて鉛色の水の中に飛び込んで、泳いでいる。
中国の90%の河川は極めて深刻な汚染と言われるが、2002~2007年 違法な鉱山業による汚染が工業化に輪をかけ、その汚泥から今重金属の採取が出来る。
実に7億人以上が、汚染された水を飲んでいる。
他の町でも1000人規模で、化学工場の飲料水汚染の抗議デモが報道されている。

環境浄化政策や作業は、法があって無いに等しく、お金で解決してしまう排汚費システムは、中世ローマ法王が発行した免罪符(どんな重い罪でもお金を払えば許される)のようで、現代の悪夢でもある。この汚染は、土壌にも、空気にも見られる。そして、川の水は、海に流れ込み、死の海へと変化している。

現在、日本で1~4歳児の死亡率が極めて高く、またアトピーの子供が多く、女性の流産、死産が増え、異常な犯罪も増えているのを見ると、何を食べるか飲むか、どんな空気を吸うかが大きく関係していると考えられる。
日本政府は生活生活と言うが、国民の命の安全を守るのが大きな仕事だと思う。ここではいくら医師の数を増やしても質の問題もあるが解決しない問題がある。
汚染された食品と、肉体と精神神経と更に情報の早急なる解毒が必要だ。

(ミュンヘン在住)ながやベックマンけいこ 2009.8.18

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