毎年11月2日は「万霊節」Allerseelen アーラーゼーレンと言い、死者達の霊を静かに慰める祝日で、お墓参りをする日となっている。
ドイツ語で墓地はFriedhof 、 平和なる庭と言う意味になる。

11月1日は緒聖人の祝日アーラーハイリゲン(カトリックでは万聖節)と言い
古代ケルト時代は、11月1日が冬の訪れと共に新しい年の始まりとされた。

その前夜祭10月31日は古代ケルト人の1年の終わりの日で収穫感謝祭をも兼ねた。この夜は死者の霊達が家族を訪ねたり、精霊や悪霊・魔女・怪物も出て来ると信じられた。悪霊から身を守る為に、様々な仮面を被り、魔除けの為に焚き火を炊いて、農作物と動物を備え牛の骨を火の中に投げ入れた。

ハロウィンはスコットランド・アイルランドに住んでいたケルト人達の自然崇拝教から、601年ローマ教皇グレゴリウス1世がキリスト教カトリック改宗への策とする起源を持ち、英国からアメリカに渡り祝日となった。
子供達が大きな(昔はカブ)やカボチャをくりぬき蝋燭を立て、魔女やお化けに仮装して、家々を回ってお菓子をもらってあるきその後パーティを開く。

ハロウィンはアメリカから大西洋を渡ってヨーロッパに戻り、最近はドイツの幼稚園でもクリスマス、イースターに続く行事として採用されたり、若者が仮装してパーティをしたり、仮装用のグロテスクなマスクや衣装等がビジネスの対象になってきている変化が見られる。

ドイツの墓地は1年中お花や植物が植えられて手入れも良く行き届いている。お墓参りをする人が多く、ドイツ人は祖先や友人の墓をとても大切にしている一面を感じる。遠くに住み本人が直接手入れが出来ない人は、お花屋さんに管理を依頼することも出来る。

そして特に今のシーズンは1年中で一番お花屋さんが忙しい時期になる。
全て植物で作られる美しい大小様々な花環、木の実、常緑樹の葉、小枝,花を使い様々なデザインの装飾豊かな飾りと、生花、蝋燭の常夜灯の光りで墓地全体がとても華やかになり、死者達の霊が本当に慰められていると感じられ、しめやかながらも明るい美しい雰囲気になる。
墓碑も様々な石の素材が使われデザインも様々で個性豊かである。石、ブロンズ、大理石の彫刻像の天使や小動物、本なども見かけ、生前の個人が偲ばれるものも見かける。写真が入っている墓石も良く見かける。

ウイーンの中央墓地も有名人が多く埋葬され森が美しく良く知られるが、ドイツも森の墓地が多く、様々な鳥、昆虫、ハリネズミ、ハムスター、テン、野ネズミ、鹿が棲んでいたりしてビオ・トープにもなっている。

ドイツの墓地は現在も田舎の方では昔通り教会が管理している所もあるが、都市部では現在各自治体が運営管理する共同墓地が多い。州により多少異なる埋葬法に従い、25~70年間の使用権を購入するケースが多く、延長も出来る。

旧東ドイツでは、1878年ゴータにドイツ初めての火葬場が建設され、現在90%以上が火葬となり、ドイツ全体では40%位となる。仕事で何回か経験した事があるが、日本とは異なり家族は位牌を骨壷に入れた状態で受け取る。

南ドイツはカトリックが多く、地下水の汚染を来たす危険性がある場所以外は土葬が主流となっている。土葬の場合は必ず棺に納めて墓地の教会で3日間お別れをする時間があり、葬儀の後埋葬するが、深さは2、7メートルの墓穴と決められ、25年経過していれば、同じ所を使用する事が出来る。
遺言に従い海洋葬、遺灰を川に流す、芝生に散骨、庭の木の下に埋めると言うケースもある。イスラム教徒は特例で、遺体を布に包み専用の墓地に埋葬する事になり、またユダヤ人専用の古い墓地も残っている。

スイスからドイツに入ったと言われる森林葬が2001年よりドイツ中部ヘッセン州のカッセルで116ヘクタールの州有森に許可され、「ドイツ安らぎの森」と言う協会が運営している。(私有林は全体の50%位となる)
生前に自分の好きな樹木を選択し、遺灰を自然の素材で出来た骨壷に入れて、その樹の根元に埋める。樹の幹には故人が判別できる小さな札を付ける。
後は、自然に任せて樹木は時間と共に生長して行く。

昔ドイツの全土は森で覆われ、中世の町は森の大海に浮ぶ孤島と呼ばれた。
ドイツ人の魂は、森の中で一番安らぎを覚える、と言われるように「森の民」はこの森林葬を希望する人が多く、申請中の団体が増えていると聞いた。
個人の意思を尊重した「埋葬の自由」を考える時代であると思う。
(ミュンヘン在住)ながやベックマンけいこ 2009.10.31

| コラム集 | 02:59 | comments (x) |
カレンダー
So Mo Di Mi Do Fr Sa
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30   
<< 09.2010 >>
ページ内検索
Lindenbaum-Consulting