橋、ビル、トンネル、高速道路の高架線など、鉄筋コンクリート建築・土木基礎工事の施工時に鉄筋の下に使用する小さなブロックがある。
湿度や熱、空気に触れて鉄が錆びないように保護し、建造物を強固する為に使用される小さなブロックの部品を“コンクリートスペーサー”と言う。

建築土木工事の時に、セメントと砂とを水で練ったモルタルをその上に注流して、中に埋め込まれてしまうので、一般の人には目に触れることが少ない。

大地震などで建造物が崩壊した現場や、古い建物を解体した時には、設計図通りであったか、手抜きがあったどうか、その材質等はどうであったか、などを始めて確認し調査する事が可能となる。

同じ震度の地震でも、設計図通りに作られ破壊されていない物と、破壊されている建物がある差は、この小さなブロックの数や質など大いに関係してくる。

この建材のブロックは大変硬く粘りのある材質となり、現在はコンクリートにグラスファイバーを混ぜて、見た目にも硬そうで剛性と強度があり、表面が細やかで綺麗であるが、耐火性もある。以前はアスベストを混入して硬度や粘性を高めて使用されていたそうだ。

色々な形や大きさの種類があるが、日本では一般的に3x4センチメートル、厚さ1センチメートル位の犬のビスケットのような形をしているものが多く使用されている。特に阪神淡路大震災以来、需要が急に伸びているそうだ。
と同時に、中国製のただのコンクリートの塊のような粗悪品もあると聞いた。

この本当に小さな“コンクリートスペーサー”は、建造物の耐久性に大きく関係し、小さくても実に大きな縁の下の力持ちのような、建物の寿命の為に重要な役割を果している建材の1つである。

ヨーロッパを代表する、コンクリートスペーサーと密閉技術建材の会社が、南
ドイツ・ニーダーバイエルンの田舎町にある。 1962年にビジネスマンだったマックス フランク氏により小さなコンクリートスペーサーの会社が作られた。

1962~1968年までは、アスベストを使い、その後からはアスベスト問題が起きてきたので、現在のグラスファイバーを使用しはじめた。
現在は家族で経営して、工学部で学び博士号を取った息子さんが社長となり、
ここ数年の短期間で、ヨーロッパ内に製造工場を3箇所、11の支店を持つまでにお客が増えて仕事が拡張した。

昨年の春までは、毎月50トンのコンクリートスペーサーを、建築ラッシュのドバイに輸送していたが、輸送費が高くつくので、現地に生産工場を建てている。
ドバイ現地では、ドイツの建築土木会社が多く働いている。

現在そして将来、大いに必要とされている省エネに最適の密閉技術を使った新しい建材の7製品も開発され、博士はパテントも取り、社員が増えて現在全部の社員数が500人の会社になったが、更に注文が増えているので、採用する必要性が出ているという明るい会社である。

アスベスト(石綿)はギリシャ語から来ているが、繊維状に変形した天然の鉱石で、古くは古代エジプトでミイラを包む布として使用された。
古代ローマでは、ランプの芯としても使われ、燃えない布と言われた。

値段も安く、耐久性、断熱性、電気絶縁性、摩擦防止、耐薬品性など優れた特性があり、奇跡の鉱物とさえ表現されて多く使用された。

石綿の繊維の細さは、髪の毛の5000分の1程度の細さで、アスベストと肺がんの関係に関しては、1938年ドイツのマスコミで既に問題視されていた。
当時、ナチスの政府は、アスベスト工場で換気装置を付けさせ、工場労働者に対する保障義務を要請している。しかし、戦後このナチス時代の研究等は随分と長い間無視されてしまった。この事も、世界史の悲劇の1つである。

アスベストは、肺繊維症、肺がん、悪性中皮腫、じん肺 の原因になるとWHOの付属機関IARCが勧告し、世界的に問題となり亡くなっている人も多い。

旧東ドイツには、幽霊工場、誰も使用していない屋敷、ビル、空になった元ソビエト兵の宿舎が、ガランと不気味に至る所に多く残るが、解体時にここでも今後アスベストの危険性が伴う。

(ミュンヘン在住) ナガヤ・ベックマン

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