農林大臣イルゼ・アイグナーさん(女性、CSU)は、遺伝子組み換え操作されたトウモロコシの品種Mon 810 のドイツでの栽培を禁止すると数日前に告知した。
理由は、安全性に大きな疑問があり作物自体に殺虫能力があり、蜜蜂や昆虫に奇形が生じたり死んだりして、生物界に大きなダメージを与える危険性が大である。蝶の畸形が目立つと、テレビで奇形の蝶や虫の映像も紹介された。また、トウモロコシの花粉の飛散により、他の植物環境生態系への悪影響が見られる。

今まで長年試験栽培してきた農業大学、ギーセン大学などでは、危険と言う結論が出たので、この試験を打ち切ると発表している。(L-トリプトファン事件ではアメリカで38人の死者を出し、1543人が健康被害を出している。)

ヨーロッパ諸国でも、既にオーストリア、フランス、ハンガリー等では栽培禁止になり、全体的に信頼できず安全性が確認出来ないと断固拒否の姿勢が強い。
技術のみならず、営農を全面的に依存させるビジネスモデルに批判の声も強い。

アフリカ南部のザンビア共和国は食糧難にも拘らず、アメリカからの遺伝子操作されたトウモロコシの援助を拒否した。このトウモロコシを一度栽培すると、ライセンス料も請求され、癒える事の無い依存状況が出来上がり再度奴隷になる可能性と危機感がある。南アフリカ共和国は、この危機感がないようで、既に遺伝子操作されたトウモロコシ、ダイズが大規模で栽培されている。

ドイツ北東部のブランデンブルグ州の農家では、牛の飼料用に約4.500ヘクタール種蒔きの準備がされていたので、今戸惑いと驚きの声はある。

アメリカの多国籍バイテク農業大企業モンサント社ほど数多くの環境スキャンダル事件を起こして評判が悪く、また限度を知らない貪欲さで膨大な利益追求に走る会社は他にない。(他にも小さな農薬、除草剤とその体制作物をセットで販売する会社はある。)

最近では、インドの小さな貧しい農家が値段が高くなった米の種さえも購入する事が出来ず、1万人以上の農家の人が追い詰められて自殺者を出している。
(これもテレビで紹介された。)インドには100種類のお米があり、遺伝子操作されたお米が入れば、ほぼ他の種類は全滅であろう。アフリカ諸国でも、今食糧のお米やトウモロコシの値段が上がり、1日1食の人が増えている。

モンサント社は、1901年に創立された化学会社で、最初は人工甘味料とカフェインを生産していた。後に化学兵器を製造し、特にダイオキシンを含む猛毒の枯葉剤・エイジェント・オレンジがベトナム戦争で大量に使用された。
(散布地に各種癌、死産、流産、先天性形成異常などが多い)

その後、1990年代の後半に、膨大な投資により全世界の植物種物会社を買い取っている。大豆、菜種、甜菜、米、トマト、馬鈴薯、木綿に関する遺伝子組み換えの技術、更に動物に関するパテントをほぼ独占し、世界における農業のグロバル化を計画しコントロールし、アメリカとアジアではほぼ成功に近い。
昨年の利益は40%増しで、今年の利益は倍になり、2012にはコンツェルン社長フュージ・グラントは更に利益を倍にするだろうと予測されている。

ミュンヘンにヨーロッパ機関である特許庁本部がドイツ博物館の近くにある。先日養豚農家や環境団体、市民、教会関係者1000人以上で、“豚や人間のパテント反対”の大きなデモがあり、市内の広場から特許庁へとデモ行進があった。養豚農家が豚のパテント料を1頭づつ支払うと、営農不可能になる。
(現在パテントの無い古い白と黒の豚シュエービッシュハル種が増えている)

モンサント社の豚遺伝子操作のパテント権が、2004年パテント番号1651777
で名前を変えたニュースハム・チョイス・ゲネティクス社から申請され、これが2008年7月にパテントが与えられている。

もう1つ、化学会社BASFは遺伝子操作された工業用馬鈴薯アムフローラの試作栽培に関して、農林大臣に許可を申請している。国民の大きな関心と論議の的となっている。ヨーロッパは食糧生産過剰だった為に10%の農地を休耕させている。ドイツの食糧自給率は90%近く、寒冷地なので野菜や果物は輸入が多い。酪農製品、肉類は120%の生産で、輸出もしている。ミュンヘンにはヨーロッパ最大の自然有機農産食料品スーパーチェーン・ベーシックやヘルマンスドルフなどの店が多く、値段も割と安くなり人気があるが、市民の意識が高い。
日本の農業は、重要な植物性蛋白質の安全な大豆を始め、早急に自給率を上げなくてはならない危機の時期に来ている。「特に子供や若い人達は、遺伝子操作された食品やその加工品を食べてはいけない!」と声を大きくしたい。
(ミュンヘン在住)永冶ベックマン啓子

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