ミュンヘン市内の日本食料品店で、欧州産新こしひかり、旨みあふれる極上の米と書かれた“ゆめにしき”を初めて先日見て、6月に日本より持参した美味しいお米が丁度終わりそうになったので購入した。
イタリア産で袋の裏には12ヶ国語で説明があり、5kgで18,40ユーロ、(約2,500円)であった。他にも欧州産やカリフォルニア産のお米が数種類ある。

ドイツ中部では軟水が出ている所もあるが、南ドイツはアルプスに石灰石が多い為、バクテリアは殆どいなく塩素消毒をする必要が無い位綺麗な水だが、水道水は硬質でカルキが多く、わかすと真っ白にカルキがやかんに付着する。
ビール会社では地下水を汲み上げ濾過して使用している。

日本の炊飯器でご飯を炊く時は、購入した飲料用の大きなペットボトルのお水を使い、少しお酒を入れて炊くと案外美味しく炊ける。
欧州産のお米は、土壌や水の為か何故か日本でのご飯よりは確実に味が落ちる。
日本では美味しいと息子は2杯も食べるのに、ドイツでは1杯しか食べない。

イタリア産のお米は、アルプスに源流を持ちアドリア海に注ぐ全長650キロメートルのイタリアで一番長い北部ポー(Po)川流域の水田地帯やトスカーナの一部で生産がなされている。ポーデルタは、動植物の種類が豊富で、鳥も300種と多く、1999年ユネスコ自然保護遺産に指定されている。

イタリアの米と言えば、日本でも知られる1949年ジュゼッペ・ディ・サンティス監督による映画「苦い米」Riso Amaro 、イタリア人ならば知らない人は居ない、と今でも言われる位の記念すべき名作である。
リゾアマロと1つの単語にすれば、「悲しい笑い」と言う意味になる。

今でこそ、北イタリアは産業工業が発達して豊かになっているが、当時は貧困で北イタリアの各年齢層の女性達が約6週間も出稼ぎ労働で、安い賃金と粗末な食事で水田の田植えや草取りなど肉体重労働の農作業をしていた。

農家の倉庫のわら床の上で寝泊りし、1日11~13時間と言う重労働に耐えながら、しかし彼女達はいつも様々な思いをコーラスで、また夕べはダンスや歌で明るく自分達を慰めていた。家庭や家族からの自由な開放感もあったのだろう。

野性味溢れる女優18歳のシルヴァーナ・マンガーノが光っていたが、当時のイタリア女性の逞しさと明るさと、また貧しさと若さと悲しさが入り乱れ、悪党の男(ヴィットリオ・ガスマン)との恋愛では、男の限度を超えた悪をどうしても許せなく、自己嫌悪に陥り最期は相手を殺して自分も投身自殺してしまう。

その事件が起きたのは皆が帰宅出きる日、一緒に働いた仲間達は彼女の死で受け取れた給料代わりの米が入った袋を肩にかつぎ、1人が袋からお米を取り出してパラパラと彼女に撒き散らす。次々と感謝の思いでパラパラとお米を撒いていく。タイトルの如く、終わりは本当に苦い悲しいお米の味がする。

当時もきっとイタリア女性達は家族が待つ家に笑顔で帰って、家族の為においしいリゾット・イタリア風雑炊やライスコロッケ、ライス入りスープなどを料理した事だろう。久々の楽しい食事風景がなんだか目に浮んで見えてくるようだ。この出稼ぎ労働の田植え女Mondinaは、1960年の初め、農業機械と除草剤の導入で終わった。

お米料理は、スペインのパエリアも知られるが、お米を洗わないでバレンシア米を使うと本格的な味になる。ギリシャ、エジプト、トルコ等でもお米料理は色々とある。ドイツでは、お米は輸入物になるが付け合せに野菜感覚で使ったり、雑炊やスープにも使う人がいて黒い米など種類は多いが消費量は少ない。ライスプディングは、お米,たまご、さとう、牛乳で作り、シナモンやジャムをそえてデザートになるが、慣れればこれも美味しい。

筆者がまだ幼い頃、お茶碗にご飯粒が残っていた時、明治25年生まれだった祖母から「お米の一粒一粒にも観音様が宿っているから、残さないように食べなさい。粗末にすれば目が潰れます」と言われて、祖母とお参りした観音様の姿がお米粒に直ぐ浮び、その時から1粒も残さない習慣が身についた。

ドイツ人も食品は棄てない。硬くなったパンはだんごにして食べるし、スーパーマーケットも賞味期限があと1週間の食品は、福祉施設に寄付をする。
食品を棄てるのは、スキャンダルである。
餓死したり、1日1食粗末な食事しか取れない人達が多く居る現代で、どうして日本では輸入した食品が棄てられていくのでしょう。
(ミュンヘン在住)ながやベックマンけいこ


| コラム集 | 18:45 | comments (x) |
カレンダー
So Mo Di Mi Do Fr Sa
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30   
<< 09.2010 >>
ページ内検索
Lindenbaum-Consulting