3ヶ月の基礎訓練が終わり、本人の適正能力と基礎訓練の成績が考慮され、次の訓練と勤務先が決められて、発表された。

息子は、迫撃砲(Moerser 120mm)部隊に配置され、上等兵になった。
期間は、10月1日から、翌年の3月31日までの6ヶ月間である。

同じ兵舎内だが別の建物に移動し、6人部屋を新しい仲間の5人で共有し、新しい共同生活が始まった。
勤務内容により、他の町の兵舎に移動した仲間もいたそうだ。
前の部屋と同じで、先に窓際の階段ベッドの上を選択したという。

 朝は、6時30分に廊下での朝礼に出るのが決められているが、その前は自由になったそうだ。1時間長く眠れるようになりみんなホッとして嬉しそうだったが、それでも誰もが睡眠不足で、朝食を抜いて少しでも長く寝ていたい日があったそうだ。

新しく来た基礎訓練の兵士達を見て、3ヶ月前は大変だったと、みんなで話し合ったという。「本当に酷い目にあったよ」、と言う仲間もいた。
 先輩達が、「最初の基礎の3ヶ月が一番充実していたよ」と話していたのを、思い出したという。

誰も 何回も大声で叱られたり注意された。が、ただの一度も叩かれたり、蹴られたり、殴られたりなどの暴力を受けた事はなかったそうだ。

兵士は普通の市民がユニフォームを来ているだけだから、万一暴力を受けたら、侮辱されたりしても言葉の暴力になるから、すぐ弁護士を使い裁判になり大変な事になるという。

 迫撃砲の理論を教室で学び、 兵舎の中庭で170キロの重さの迫撃砲を分解して、倉庫から運び出し組み立て、また分解して手入れして倉庫に運び、実践の2元システムでの勉強が続いたそうだ。

操作はなかなか難しく、集中力と指先の繊細さを必要とし、少しでも間違えると、「何やってるのか!」と怒られたそうだ。
プラスチックのヘルメットをカーンと軽くメタルのアンテナ棒でたたかれ、それでもかなり大きな音がしたが、内庭の木を指差して「あそこの木まで走って行って回ってこい! そして、やりなおし! 集中しろ! 」 と全員が何回も走ってやり直しをしたそうだ。

 他の兵器を取り扱う部隊もあったが、迫撃砲部隊がそこでは一番ハード
だったという。

ある日、自分達の部屋でけんかがはじまった。
新しい中間の1人は、体が大きくて、見るからに怖そうな感じで、小さい頃からロッククライミングをやり、今も続けていて上手いそうで、その他色々とスポーツで鍛えていると聞いた。

彼は2段ベッドの上で寝て、毎晩大きないびきをかくので、その下に寝ている仲間が「 毎晩煩くて眠れない!、耳栓を毎日使わなくてはならないよ」と文句をたまりかねて言うと、これが元で大喧嘩になり、危険な雰囲気になったという。大きな声でいつもどなられていると、大きな声でどなる事が出来る様になると息子は思ったそうだ。

 「横になって眠るか、おなかを下にして寝ると、いびきをかかないよ!」と、どこかで聞いた事を息子が伝えると、その体の大きな仲間は急に静かになって、その夜は本当に下を向いて寝ていたが、いびきはかかなかったそうで、平和が訪れたそうだ。
下に寝ていた仲間は「ダンケ!」と息子に小さな声を出し、目配りをしたという。
 
  団体生活では、色々と人との軋轢や譲り合いがあり、1人息子で育った場合は、特に新鮮で貴重な体験になる。

 近いうちに、10kgの荷物を持ち、30kmを歩く訓練があると、うわさが広がったそうだ。最初15km歩き、飲み物と軽食で小休憩があり、それからまた15km歩いてもどり、時間制限は5時間以内だという。

今までの最高記録は、走り続けて2時間で戻ってきた仲間がいたそうだ。
5時間ギリギリの人も居たようで、5時間以上かかった人もいたそうだ。
( つづく )

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