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「卵を食べるとコレステロール値が高くなるから1日に1個」、と決めている人が多ようだが、2つでも3つでも食べても問題は無く、蛋白質スコアーは100%、ビタミン・ミネラル、レシチンも豊富で理想的な素晴らしい食品である。
ただ沢山食べるのには味が短調と言うだけである。

1913年ロシアのニコライ・アニチコフ(Nikolai Anichkov 1885年生まれ)病理学者が草食性動物の兎に強制的に卵を食べさせて実験したところ、大動脈にコレステロールが付着して動脈硬化を来たしたので、そこから迷信が生まれた。

その後英国で、雑食動物を使い卵を食べさせて実験が行われたが、コレステロール値は高くならず、訂正記事が出たが、多くの人に読まれる事がなかった。
ただ、生の卵白に含まれる成分アビジンが、補酵素R=ビタミンH(ドイツ語の皮膚Haut から取られた)の吸収を妨げるので、半熟卵や加熱して食べた方が良く、体内で蛋白質の吸収率も2倍近くと高くなる。

鶏の祖先はインドのパンジャブ地方の密林に住む野鳥、あるいは東南アジアの密林に生息しているセキショクヤケイと言われる。危険を逃れる為に飛ぶ事も出来、夜は木の枝に止まつて寝る習慣がある。

この野鳥がペルシャからヨーロッパに紀元前500年頃に入ったと言われるが、種類も色も 白、黒、茶色、カラフルなものとかなり多くなっている。
現在ドイツ人は年間1人240個の卵を食べているという統計がある。

ドイツでは、鶏や家畜達その種族に合った幸せな飼育方法と条件を、2002年から法的に制定し2004年から効力を持つようになっている。9つの民間団体のうちデメタ農法が一番厳しい条件を守っているが、ミュンヘンでも値段は多少高くてもデメタの卵は人気がある。
2012からはEUでは従来の抗生物質を使わざるを得ない狭い大量飼育のケージから鶏を開放し、1つのビオ鶏舎に最大3,000羽、1m2に最大6羽まで、1羽につき4m2の草原を与え地上から18cmの所に止まり木を作成するなど、時間がかかりそうだが、健康で幸せな鶏らしい日常生活をして頂き、健康な良質な食品を得ようとの動きがある。
先日訪問した動物保護の家では、動物愛護協会が養鶏農家から毛が全部抜けていた可哀想な鶏を没収した6羽が居て、毛がかなり生えて元気になっていた。
南ドイツの田舎の方に行くと、民家のべランダにはカラフルなお花が咲き乱れ、果樹園や草原に、綺麗な雄鶏を中心とする鶏の一群が放し飼いされていて、猫や犬がいて、近くには牛がストレスなく幸せそうに放牧され、まるで絵本に出てくるような美しい平和な田園光景を良く見かける。

協会の尖塔には可愛い風見鶏も見られ、雄鶏は夜を支配する魔物や悪霊を追い払う力を持ち、古代ゲルマンは雄鶏を崇拝してその肉も食べなかったそうだ。
夏の季節には、雄鶏は朝5時にはドイツ語で「キックリキー」と鳴き始め、目覚まし時計の役割も果たしている。

ドイツで一番有名な鶏はブレーメンの音楽隊のロバ、犬、猫の上に止まる雄鶏であろう。時々ペットとして美しい雄鶏を飼っている人がいて、隣人とその鳴き声で問題が起き、裁判にまで発展する事がある。

ある田舎の沼池で白い鳥がバタバタしているのを見つけた農家の主人が、なんだろうと近ずいてみると、それは溺れかけていた鶏であった。可哀想にと沼池に入り助け出して、庭先で休ませた。その内元気を取り戻し、近くの農家の自宅に戻っていった。翌日その鶏が現れ、卵を1つ庭先に産んで戻っていった。
その翌日も、また次の日もと随分長く鶏は命を助けられた恩返しを続けた。

ある日からパタリと鶏が来なくなり、心配して近くの農家に様子を伺いにいくと、鶏舎の隅で蹲っていた。病気かもしれないと許可を得て獣医さんの所に連れていくと、卵巣炎になっていた。卵を産みすぎたのだろうか。
その人は、獣医さんにもお金を支払い、貰い受けて大切にペットとして飼った。
死んでいなければ、今日も仲良く生活していることでしょう。

愛知県に姉が住んでいて家の近くに神社がありその森には鶏がいつの日からか数羽住んでいた。ある日1羽が遊びに来たので、姉は餌をあげたという。
お腹が空いていたようで喜んで食べ、翌日も来たのでエサをあげると庭の植え込みの陰に卵を1つ産んで帰っていった。鶏と話をしてエサをあげ卵を戴く楽しい毎日が続いたが、有る時から急に来なくなってしまった。噂によると、誰かに食べられてしまったという。しばらくして、その人は事業に失敗、夜逃げをしたという話があった。鶏にも情動脳があり、不思議な力を持っているのかもしれない。卵を食べるときは鶏に感謝をして戴こうと思う。

(ミュンヘン在住) ながや ベックマン けいこ


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